残念姫、王子に溺愛される
ゆっくり講義室に向かう、恋羽。

ミリナに言われたからか、妙に周りが気になる。

(な、なんか…見られてる気が………
………って、気のせい気のせい!)

講義室に入ると、ミリナが来ていて手招きしてきた。
恋羽も手を振り返し、隣に座った。

「おはよう!」
「おはよ!」

「………」
「………」

「ん?ミリナちゃん、何?」
隣のミリナから視線を感じ、問いかける。

「ん?
いや、ほんと“綺麗になったなぁー”って!」

「……/////」

「あ、赤くなった(笑)」

「からかわないでよ(笑)」

「本心よ?
いや〜“恋をすると綺麗になる”とはよく言ったモノよね(笑)」

「……/////
そ、そりゃあ…歩稀さんの隣に立つために、努力はしてるつもりだけど…//////」

「でしょ?」

「でも……」

「ん?」

「ありがとう!
やっぱり、そう言ってもらえると嬉しい!」

「フフ…
可愛く笑っちゃってさ!
まぁ…元々から仕草は可愛いもんね、恋羽。
やっぱお嬢様だから、上品だし!」

午前の講義が終わり、ミリナと学食に向かった恋羽。

「恋羽、何にする〜?」
「んー、ロコモコにする!」
「じゃあ…私は、パスタにしよっと!」

窓側のカウンター席に座り、手を合わせる。

「ふぅ…なんかさ…久しぶりの講義、きついね…(笑)」
ミリナが苦笑いしながら、パスタを器用にフォークに巻く。

「フフ…確かに(笑)」
クスクス笑っていると、恋羽の隣の席に鞄がポン!と置かれた。

「え?」

「やっぱ、可愛い!」
顔を上げると、男子学生数人が恋羽とミリナを囲んでいた。

「え?え?」
「何!?」

「姫乃原 恋羽ちゃんだよね?」
「遊ぼうよ!」
「友達も一緒にさ!」
「美味しいパンケーキの店、知ってんだ!
食後のデザートに奢るよ?」

「私達、忙しいの!
恋羽、行くよ!」
「う、うん…
あ、あの、ごめんなさい…!」

ミリナについて、パタパタと学食を出ていく恋羽。
学食を出て、前を歩くミリナがため息をつき立ち止まった。

「ミリナちゃん?」

「思った通り!」

「え?」

「言ったよね?
噂がたってるって。
ほんと、気をつけなきゃ!
“また”騙されるかもだよ?」

「うん…そうだよね…」

「あ…ごめん…
思い出させちゃったね…」

「ううん!」

「まぁ…私がいるし、それ以外は真田さんだっけ?いるから大丈夫だろうけど!」

安心させるように微笑むミリナに、恋羽も微笑み返した。


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