冷徹大臣の雇われ妻~庶民出身成り上がり女官の次の就職先は伯爵夫人ですか~
「お義姉ちゃんの口ぶりからして、相手は上位階級の人でしょ? そんな人が庶民に求婚なんておかしいよ」

 それはそうだ。リリアンだって、思った。

「うん、わかってる。ただ、悪い条件じゃないのよ。むしろ、いい条件で」

 早口になった。

 ロジアネの顔がどんどん険しくなっていくのには、気づかないふりをする。

「結婚願望があるわけでもないし、どうせだったら役に立とうかな――って、思っているの」

 若干上目遣いになった。ロジアネは、ぐっと息をのむ。

「……それって、私のため?」
「え?」

 突然の言葉に、リリアンは瞬きを繰り返した。

「いい条件っていうことは、愛情なんてないんだよね?」
「まぁ、それは」
「お義姉ちゃんは本当にそれでいいの?」

 鋭い声に、リリアンはひるんだ。

 視線をさまよわせると、ロジアネが言葉を続ける。

「お義姉ちゃんは、いつも私のために自分を犠牲にしてるよね?」
「……犠牲なんて」

 これはリリアンが望んでやっていることだ。決して、自己犠牲ではない。

「私に負担をかけないために――ってがんばってるの、私が知らないと思ってたの?」

 うつむいてしまった。

「それに、お義姉ちゃんはこんな貧乏生活をする理由がないんだよ。お父さんの借金を律儀に返す必要なんてない」
「けど、私が放棄したら」
「そりゃあ、全額私が返さなくちゃならなくなるよ。でもね、それが当然なの」

 冷静なロジアネの言葉に、うろたえた。彼女の言葉は普段よりずっと冷たい。
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