冷徹大臣の雇われ妻~庶民出身成り上がり女官の次の就職先は伯爵夫人ですか~
「そっか。なんか、お義姉ちゃんが職場で孤独なんじゃないかって、心配してたの」
「孤独っていうほど、孤独じゃないよ。上司もいい人だし」

 頭の中でセレスタンを思い浮かべる。

 いい意味で貴族らしくない彼は、大臣になりたくてなったわけではない。ゆえに仕事嫌いを隠さない。

「それで、相談ってなに?」

 ロジアネがお冷に口をつけつつ、問いかけてくる。

 わずかにためらって、リリアンは口を開いた。

「ロジアネは、私が結婚するって言ったら、どうする?」

 無意識に小声になっていた。

 目の前のロジアネは、グラスを持ったまま硬直している。

「え、結婚? お義姉ちゃんが?」
「うん」

 確認の言葉にうなずくと、ロジアネは「へ、へぇ」と明らかに動揺した声を出した。

「相手の人って、どういう人?」
「……とてもすごい人」

 間違いではない。カンディードは伯爵であり、財務大臣だ。

 リリアンにとってはまさに雲の上の存在である。

「訳あって結婚相手を探してる人でね。私が条件にぴったりだったんだって」
「……それ、大丈夫なの?」

 ロジアネが眉をひそめた。
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