呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「あれ……?」

イブリーヌはいつの間にか。
見知らぬ場所に、辿り着いていた。

「白猫、さん……?」

 あたりを見回した彼女はハクマの姿がないことに気づき、血の気が引く。

(ど、どうしよう……!)

 今さら焦ったところで、どうにもならないとわかっていても。
イブリーヌはあわあわと視線をさまよわせるのを止められない。

(ま、迷子になってしまった……)

 オルジェントや白猫に頼り切りであった彼女は、王城の地理をよく理解していなかった。一人では、とてもじゃないが寝室まで戻れる気がしない。

(亡霊達に、お願いすれば……)

 ――悪しき魂達は彼女を亡霊の女王として覚醒させようと目論む者がほとんどだが、その中にもイブリーヌの幸せを願うものがいる。
 彼らに願えば、この危機的状況を脱せるかもしれない。

 イブリーヌは慌てて、彼らに助けを求めようとしたが……。

(でも……。対価を求められたところで、私には渡すものがない……)

 彼らの手助けを受けた結果。亡霊の女王になってほしいと願われても、困ってしまう。
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