呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「い、嫌……っ」
「まぁ! わたくしのありがたいアドバイスを、受け入れられないと言いますの?」
「ち、違……っ」
「イブリーヌ様は今、わたくしに向かって強い拒否反応を示したではありませんの。なんて酷い方なんでしょう! わたくし、とっても傷ついてしまいました……」

 思わず耳を塞いだイブリーヌの姿を目にした女性は、自身が彼女には拒絶されたと勘違いしているらしい。
 わざとらしく傷ついたとばかりに瞳に涙を滲ませる公爵令嬢に、イブリーヌは何度も首を振って否定したが――悪意を持って彼女に接するアメリには、なんの意味もない。

「やはりあなたは、オルジェント様の妻にふさわしくありません」

 これ幸いとイブリーヌから夫を奪うために、胸を張って堂々と宣言してみせた。

「彼に離縁を宣言したまま、戻って来なければよかったんですわ」

 女性から心無いない言葉を受けたイブリーヌは、思わず歩みを止めてしまう。

(この人と、一緒にいてはいけない……)

 もう、彼女の隣をともに歩く気にもなれなかった。

 悪意を持った人間といたところで、疲弊するだけだと。
 それは母親の件で、何度も身を持って体感している。
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