呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「これに懲りたのなら。是非ともわたくしの伝授した、皇妃として相応しい立ち振舞いを心がけてほしいですわね」
一方的な主張を聞き流していただけで技術が身につけば、苦労はしない。
イブリーヌは首を左右に振って必死に女性の言葉を拒絶したが、その意思表示はアメリを苛立たせるスパイスにしかならない。
「それが無理だと言うのならば――コクマ」
満足そうに口元を緩ませながら。
瞳を爛々と輝かせている女性は、胸元に抱きかかえた黒猫の身体を優しく撫でつけると――その動物の名前らしき単語を呟く。
「あなたを奈落の底へ、突き落として差し上げますわ」
イブリーヌは、白猫の名を脳裏に思い浮かべる。
(ハクマさんと、コクマさん……)
一方は死神と呼ばれるオルジェントのパートナーであり、もう片方は亡霊の愛し子として生まれた彼女のそばにいるべき存在であるのなら。
あの黒猫は、イブリーヌの味方のはずだ。
「どうして……?」
居ても立っても居られない彼女の唇から、震える声が紡ぎ出された。
その問いかけに、コクマは静かに応える。
一方的な主張を聞き流していただけで技術が身につけば、苦労はしない。
イブリーヌは首を左右に振って必死に女性の言葉を拒絶したが、その意思表示はアメリを苛立たせるスパイスにしかならない。
「それが無理だと言うのならば――コクマ」
満足そうに口元を緩ませながら。
瞳を爛々と輝かせている女性は、胸元に抱きかかえた黒猫の身体を優しく撫でつけると――その動物の名前らしき単語を呟く。
「あなたを奈落の底へ、突き落として差し上げますわ」
イブリーヌは、白猫の名を脳裏に思い浮かべる。
(ハクマさんと、コクマさん……)
一方は死神と呼ばれるオルジェントのパートナーであり、もう片方は亡霊の愛し子として生まれた彼女のそばにいるべき存在であるのなら。
あの黒猫は、イブリーヌの味方のはずだ。
「どうして……?」
居ても立っても居られない彼女の唇から、震える声が紡ぎ出された。
その問いかけに、コクマは静かに応える。