呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「亡霊と一緒だ。あんな奴の言葉など、聞く価値もない」
オルジェントと一緒にいる間だけは、自分のことだけを考えてほしい――。
そう願う彼の言葉を受けた妻は、悲しそうに眉を伏せながらぽつりと告げる。
「本当に、よかったのでしょうか……」
「何がだ」
「……私は、殿下の妻に……ふさわしく、ありません……」
「俺の妻は、君以外考えられない」
彼女を褒める単語はどうやっても口にできないのだから。
イブリーヌに好意的な内容も言葉に出来ないとばかり考えていたのだが――。
どうやらこれは、きちんと声にできるようだ。
(俺の気持ちが、この会話を通じて、少しでもイブリーヌに伝わればいいのだが……)
そんな彼の願いは、叶いそうにない。
イブリーヌの表情が、芳しくなかったからだ。
「あの女性の主張は、耳を疑うようなものばかり、でした……。あれを信じたら。私は陛下と離縁するのが正しいことに、なってしまいます……」
「俺と別れたいのか」
「わ、私は……。陛下の、ご迷惑になるのが……怖いのです……」
オルジェントが一言迷惑だと冷たく言い放てば。
死に物狂いで捕らえたイブリーヌが、再び姿を消してしまう――。
オルジェントと一緒にいる間だけは、自分のことだけを考えてほしい――。
そう願う彼の言葉を受けた妻は、悲しそうに眉を伏せながらぽつりと告げる。
「本当に、よかったのでしょうか……」
「何がだ」
「……私は、殿下の妻に……ふさわしく、ありません……」
「俺の妻は、君以外考えられない」
彼女を褒める単語はどうやっても口にできないのだから。
イブリーヌに好意的な内容も言葉に出来ないとばかり考えていたのだが――。
どうやらこれは、きちんと声にできるようだ。
(俺の気持ちが、この会話を通じて、少しでもイブリーヌに伝わればいいのだが……)
そんな彼の願いは、叶いそうにない。
イブリーヌの表情が、芳しくなかったからだ。
「あの女性の主張は、耳を疑うようなものばかり、でした……。あれを信じたら。私は陛下と離縁するのが正しいことに、なってしまいます……」
「俺と別れたいのか」
「わ、私は……。陛下の、ご迷惑になるのが……怖いのです……」
オルジェントが一言迷惑だと冷たく言い放てば。
死に物狂いで捕らえたイブリーヌが、再び姿を消してしまう――。