呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない

　そんな予告を受けた彼は、アメリの言うことなど信じる必要はないのだと訴えかけるように。
　最愛の妻を抱き寄せる。

「今だって……。たくさん、陛下の手を、煩わせています……。私が、亡霊の愛し子だから……」
「違う」
「私が普通の令嬢であれば……。不足している知識を、頭に詰め込めば、いいだけですが……。亡霊の愛し子である限り、周りから向けられる奇異の視線は、避けられません……」
「イブリーヌ」
「私はやはり……」
「許さない」

　オルジェントはイブリーヌが痛みを訴えかけるほどに強く、彼女を抱きしめた。
　こうでもしなければ、愛する妻が自身の腕からぬけ出てしまうと恐れたからだ。

「俺の元から離れるなと、言ったはずだ」
「陛下……」
「君の望み通り、できる限り言葉を交わしている。毎日顔を見に来ていているし、これ以上、なんの不満があると言うんだ」
「で、でも……。私、は……」

　オルジェントが凄めば、言葉にできない想いを抱いた彼女の目元が潤み始める。

(気づいてなかったのか)

　イブリーヌが伝えたい言葉を瞬時に悟った彼は、渋々愛しき妻の知らない事実を語り始めた。