呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
(相手がイブリーヌでなければ、文句の一つや二つくらいは言ってやりたいが……)
妻を悲しませたのが自分自身であるとわかっているからこそ。
彼は何も言わずに、優しい微笑みを浮かべた。
「今日は、ずっと一緒に……。居てくださいますか……?」
「朝までは、確実に」
オルジェントはできない約束は、絶対にしない主義だ。
太陽が登れば、愛し子を手中に収めようと目論むオルジェントの姿を目にした亡霊達が、彼女と引き離すために暴れ回るだろう。
(自身の消滅を恐れることなく昼間に暴れ回る連中は、他の奴らには任せられないからな……)
彼は夜中の間だけは愛しい妻に全力で愛を注ぐと誓うと、彼女の頬に恐る恐る指先を触れ合わせた。
「陛下の、手……。とても、冷たい、です……」
「ああ。暖かい方が、よかったか」
「……いえ……。あの。私も……。触れてみたい、です……」
「好きにしろ」
イブリーヌが触れやすいように、身を屈めてやれば。
彼女は恐る恐るオルジェントの頬に、小さな指先を触れる。
妻を悲しませたのが自分自身であるとわかっているからこそ。
彼は何も言わずに、優しい微笑みを浮かべた。
「今日は、ずっと一緒に……。居てくださいますか……?」
「朝までは、確実に」
オルジェントはできない約束は、絶対にしない主義だ。
太陽が登れば、愛し子を手中に収めようと目論むオルジェントの姿を目にした亡霊達が、彼女と引き離すために暴れ回るだろう。
(自身の消滅を恐れることなく昼間に暴れ回る連中は、他の奴らには任せられないからな……)
彼は夜中の間だけは愛しい妻に全力で愛を注ぐと誓うと、彼女の頬に恐る恐る指先を触れ合わせた。
「陛下の、手……。とても、冷たい、です……」
「ああ。暖かい方が、よかったか」
「……いえ……。あの。私も……。触れてみたい、です……」
「好きにしろ」
イブリーヌが触れやすいように、身を屈めてやれば。
彼女は恐る恐るオルジェントの頬に、小さな指先を触れる。