呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
『待ちくたびれた……』
「あ、なたは……」
「わたくしのアドバイスを、一度も実践してくださらなかったようですわね」
「ど、どうして……」
「すべて見ていましたの。この子を通じて……」

 そこには、恐ろしい闇のオーラを纏う黒猫を愛おしそうに抱きかかえた――アメリ・テランバの姿があった。

「亡霊の愛し子と呼ばれている割には……。人の悪意に、随分と耐性がないんですのね?」

 彼女は口元を綻ばせると、怯えるイブリーヌをなんの感情も読み取れない瞳でじっと見つめた。

「まるで清らかな聖女のようですわ。わたくしのほうがよほど、亡霊の愛し子に相応しいのではなくて?」

 クスクスと口元に手を当てて言葉を紡ぐアメリは、イブリーヌが何も言えないのをいいことに次々と声を発して畳みかける。
 ――すべては、弱っている彼女を追い詰めるために。
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