呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
『オルジェント・ドゥム・アヘンドスは……あなただけの、夫……』
「私、だけの……」
『あんな女に、奪われても、いいの……?』

 黒猫に問いかけられた彼女の脳裏には、ある光景が思い出される。

 ――アメリがオルジェントと腕を絡め合い、抱き合う姿を。
 窓越しに眺めることしかできなかった、自身の姿だ。

「い、嫌……。駄目、です……っ。陛下の妻は、私だけ……!」

 あの時の悲しみや苦痛は、もう二度と感じたくない。
 そう強い願いを抱いた彼女へ呼応するかのように。
 亡霊達は、アメリに襲いかかる。

『さぁ。亡霊達よ……。愛し子の願いを、叶えて……』
「い、いやぁああ!」

 公爵令嬢の絶叫が響き渡るが、この場にいる誰もがアメリを心配することはなかった。

『いい気味』
『愛し子を傷つけた罰を受けろ』
『消えちゃえ』

 彼女は亡霊の愛し子を傷つけた。
 肉体を失い、悪しき魂となるに相応しい。
 醜い感情を胸に抱く女性であったからだ。

「ど、どうして、ですの……? 信じて、いましたのに……」

 荒い息を吐き出しながらその場に倒れ伏したアメリは、黒猫に問いかける。
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