呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「ありがた迷惑だ。失せろ」

 その声に怖がった悪しき魂達は、蜂の子を散らすように姿を消した。

『また亡霊達に、嫌われている……』
『まったく。オルジェントには、困ったものだね』

 代わりに呆れた声を出したのは、白と黒が印象的な番達だ。
 二匹の猫は当然のようにイブリーヌの胸元へ飛び込むと、思う存分自分達に触れて癒やされてくれとばかりに目を瞑る。

「いつも、ありがとうございます……」

 白と黒のコントラストが印象的な猫達に思う存分顔を埋めてリラックスしたイブリーヌは、先程まで感じていた不安が、どこかに吹き飛んでいくのを感じた。

「イブリーヌは、優しすぎるからな……。あいつらとは、考え方が合わないんだろう」
「陛下は、あの子達の言っている意味が、わかるのですか……?」
「俺は優しくないからな」
「そんなこと……!」

 亡霊達も気配が無くなったのを悟った彼は、彼女の黒髪を梳きながら最愛の妻へ諭すように告げる。
 その言葉を耳にしたイブリーヌは、二匹の猫達の身体に顔を埋めたまま左右に首を振った。
< 207 / 209 >

この作品をシェア

pagetop