呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
『悪意に晒された清らかな魂は、どんどんと濁ってきている。このままでは、悪しき魂を統べる女王となってしまう。それを阻止できるのは、オルジェントだけだよ』
闇のオーラに魂を侵食され、人々に害をなそうとする人間を探し出し、浄化するのは彼の仕事ではなかった。
自国の人間ならともかく…………。
他国にわざわざ出向いて対処を施すなど、意味がわからない。
「……くだらん」
そう吐き捨てた彼はアヘルムス国から視線を逸し、背を向けた。
『逃げるのかい?』
オルジェントは、どれほど言葉を重ねても白猫の思い通りに行動しなかった。
そんな彼を見かねたのだろう。
ハクマは長い尻尾を揺らしてハートを描くと、彼に告げる。
『君は皇帝だ。王族の血を絶やさぬために、子を成す義務があるよね』
「呪われた血を、後世に残すつもりはない」
『あの子に出会ったら、人生が変わるよ』
「しつこいぞ。俺は何を言われようとも――」
『――あの子が女王になれば、君は命を落とすだろうね』
「なんだと?」
愛だの恋だのと、くだらない感情に左右されるつもりはない。
闇のオーラに魂を侵食され、人々に害をなそうとする人間を探し出し、浄化するのは彼の仕事ではなかった。
自国の人間ならともかく…………。
他国にわざわざ出向いて対処を施すなど、意味がわからない。
「……くだらん」
そう吐き捨てた彼はアヘルムス国から視線を逸し、背を向けた。
『逃げるのかい?』
オルジェントは、どれほど言葉を重ねても白猫の思い通りに行動しなかった。
そんな彼を見かねたのだろう。
ハクマは長い尻尾を揺らしてハートを描くと、彼に告げる。
『君は皇帝だ。王族の血を絶やさぬために、子を成す義務があるよね』
「呪われた血を、後世に残すつもりはない」
『あの子に出会ったら、人生が変わるよ』
「しつこいぞ。俺は何を言われようとも――」
『――あの子が女王になれば、君は命を落とすだろうね』
「なんだと?」
愛だの恋だのと、くだらない感情に左右されるつもりはない。