呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
オルジェントがそう吐き捨てようとした直後。
白猫は今の状況を放置し続ければ、敵国で暮らす女性が彼に牙を剥くとはっきり宣言した。
これにはオルジェントを黙っていられず、呆れたように尖った耳を爪で撫でつける獣に聞き返す。
『彼女の手によって奪われる国民の命、あの子を救えなかったと後悔する気持ち。もう少し早ければと絶望しながら、最悪の結末を迎える』
白猫はこれから訪れる未来について淡々と語ると、彼に問いかけた。
『君が行動しなければ、そんな未来が現実のものとなるんだ。そんなの、嫌だろう?』
白猫の思い通りになるのは癪だが――ここまで言われては、黙ってなどいられない。
(これは民のためだ)
オルジェントはかなり長い間、悪しき魂がアヘルムス国へ向かって飛んでいく光景を黙認していた。
そのせいで、いずれ自らの力ではどうにもならない危機が訪れるのだとしたら。
彼自身の手で、それを阻止する義務がある。
「いいだろう」
オルジェントは重い腰を上げ、アヘルムス国へ向かった。
そこで、自身が想像していた以上に酷い扱いを受ける女性の姿を、目撃することになるなど思わずに……。
白猫は今の状況を放置し続ければ、敵国で暮らす女性が彼に牙を剥くとはっきり宣言した。
これにはオルジェントを黙っていられず、呆れたように尖った耳を爪で撫でつける獣に聞き返す。
『彼女の手によって奪われる国民の命、あの子を救えなかったと後悔する気持ち。もう少し早ければと絶望しながら、最悪の結末を迎える』
白猫はこれから訪れる未来について淡々と語ると、彼に問いかけた。
『君が行動しなければ、そんな未来が現実のものとなるんだ。そんなの、嫌だろう?』
白猫の思い通りになるのは癪だが――ここまで言われては、黙ってなどいられない。
(これは民のためだ)
オルジェントはかなり長い間、悪しき魂がアヘルムス国へ向かって飛んでいく光景を黙認していた。
そのせいで、いずれ自らの力ではどうにもならない危機が訪れるのだとしたら。
彼自身の手で、それを阻止する義務がある。
「いいだろう」
オルジェントは重い腰を上げ、アヘルムス国へ向かった。
そこで、自身が想像していた以上に酷い扱いを受ける女性の姿を、目撃することになるなど思わずに……。