呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
『よかった。今ならまだ、間に合いそうだね』
足元から聞こえてくる白猫の明るい声を耳にしたオルジェントは、言いようのない怒りが奥底から湧き上がるのを感じる。
(これの、どこが?)
亡霊の愛し子と呼ばれる少女が、母親を食い殺さんばかりの恐ろしい闇のオーラを纏っているのは……。
オルジェントが見て見ぬ振りをしたせいだ。
(もっと早くに、対処していれば……)
彼女が嘆き悲しみ、苦しむことはなかったかもしれない。
『君はやはり、心優しい人間だね。あの子を救えるのは、オルジェントだけだ』
うるさい白猫を睨みつけた彼は、どのタイミングでイブリーヌの前に姿を見せるべきか悩んでいた。
(早すぎては駄目だ。不審がられてしまう。遅すぎても、意味がない……)
オルジェントは大鎌の柄を握りしめる指先に力を込めると、か細い声で独り言を呟く彼女に気配を殺してゆっくりと近づいていく。
「お母様は、悪くないわ……」
彼女は虚空に向かい、言葉を紡ぎ続けている。
その姿は、とても不気味だ。
足元から聞こえてくる白猫の明るい声を耳にしたオルジェントは、言いようのない怒りが奥底から湧き上がるのを感じる。
(これの、どこが?)
亡霊の愛し子と呼ばれる少女が、母親を食い殺さんばかりの恐ろしい闇のオーラを纏っているのは……。
オルジェントが見て見ぬ振りをしたせいだ。
(もっと早くに、対処していれば……)
彼女が嘆き悲しみ、苦しむことはなかったかもしれない。
『君はやはり、心優しい人間だね。あの子を救えるのは、オルジェントだけだ』
うるさい白猫を睨みつけた彼は、どのタイミングでイブリーヌの前に姿を見せるべきか悩んでいた。
(早すぎては駄目だ。不審がられてしまう。遅すぎても、意味がない……)
オルジェントは大鎌の柄を握りしめる指先に力を込めると、か細い声で独り言を呟く彼女に気配を殺してゆっくりと近づいていく。
「お母様は、悪くないわ……」
彼女は虚空に向かい、言葉を紡ぎ続けている。
その姿は、とても不気味だ。