呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「白猫さんは、陛下に言われ……。仕方なく、慰めてくださるのですよね……」
『違うよ! これは僕の意志だ!』
「素直に認めてください……。私はもう、わかっていますから……」
『イブリーヌ! 諦めてはいけない! すぐに、オルジェントも誤解を解きにやってくるはずだ!』
「――白猫さんは、いつも私にそう言いますよね……」

 ハクマの言葉を信じて大人しく待っていても、彼は一度もイブリーヌの元へ姿を見せなかった。

(それが、すべてだ)

それは、どれほど白猫が言葉を重ねようとも変えられない事実であった。

(もう二度と、期待なんてしない……)

 裏切られると、わかっているのに。
 信じてしまうから、つらくなるのだ。

 期待しなければ。
 助けてもらえないのが当たり前だと思えば。

 きっと、苦しさも和らぐ。

そう結論づけた彼女は、ハクマに不貞腐れた様子で言葉を重ねた。
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