呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「陛下がお忙しい方だと、わかっています」
「いや。俺はそこまで……」
彼女は何かを言いたげな夫の言葉を遮ると、二度とこのようなすれ違いが起きぬように。
オルジェントへ懇願する。
「ほんの少しだけでいいのです。一分でも、構いませんから。私に毎日、お顔を見せてください」
「もちろんだ」
「一言だけでも、いいので……。陛下の声が、聞きたいです」
「わかった」
「それから……。指先一本だけでも、私に触れて……」
「ああ」
「――愛を、囁いてほしい……」
素直な願望をポツリと口にした妻は、その言葉を声に出さなければよかったとすぐに後悔した。
(やはり、陛下の心は……)
オルジェントはそれを耳にした瞬間。
悔しそうに唇を噛み締め、彼女から視線を逸したからだ。
(あの女性に、奪われているのね……)
それでもいいと思えないから、一人でここまで逃げてきたのに。
これではなんの意味もない。
彼に歩み寄ろうと試みたイブリーヌは、別の女性に心を奪われているオルジェントの姿を目にしたからだろう。
再び落胆の色を隠せない様子で、視線を落とす。
それを目にした夫は、焦ったように彼女を抱きしめる力を強めた。
「いや。俺はそこまで……」
彼女は何かを言いたげな夫の言葉を遮ると、二度とこのようなすれ違いが起きぬように。
オルジェントへ懇願する。
「ほんの少しだけでいいのです。一分でも、構いませんから。私に毎日、お顔を見せてください」
「もちろんだ」
「一言だけでも、いいので……。陛下の声が、聞きたいです」
「わかった」
「それから……。指先一本だけでも、私に触れて……」
「ああ」
「――愛を、囁いてほしい……」
素直な願望をポツリと口にした妻は、その言葉を声に出さなければよかったとすぐに後悔した。
(やはり、陛下の心は……)
オルジェントはそれを耳にした瞬間。
悔しそうに唇を噛み締め、彼女から視線を逸したからだ。
(あの女性に、奪われているのね……)
それでもいいと思えないから、一人でここまで逃げてきたのに。
これではなんの意味もない。
彼に歩み寄ろうと試みたイブリーヌは、別の女性に心を奪われているオルジェントの姿を目にしたからだろう。
再び落胆の色を隠せない様子で、視線を落とす。
それを目にした夫は、焦ったように彼女を抱きしめる力を強めた。