呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「あの、陛下……。今日、お仕事は……」
「予定は未定だ」
「ええと……」
「強いて言えば、妻との交流を深める時間にしたい」
どうやらオルジェントがイブリーヌに宣言した言葉は、嘘ではなかったようだ。
(聞き間違いでは、ないよね……?)
信じられない気持ちでいっぱいの妻は、不安そうに彼の瞳を覗き込んで真意を確かめる。
彼女と視線を合わせたオルジェントはその様子を目にして、イブリーヌがあまり気乗りしていないのではと心配になったようだ。
先程までの有無を言わせぬ高圧的な態度から一転。
妻を労るように抱きしめる力を強めながら、気まずそうに提案をする。
「君の都合が悪いのであれば、後日改めて……」
「い、今すぐがいいです……!」
この機会を逃したら。
また夫との距離が、遠のいてしまうだろう。
そんな不安に駆られたイブリーヌは再び彼の胸元に縋りつくと、この場を離れようとした彼を呼び止めた。
「そうか。俺の妻は、最高にか……」
口元を綻ばせた夫は優しい瞳で妻を見つめると、何を言いかけたが――。
突然ピタリと、口を閉ざしてしまう。
「予定は未定だ」
「ええと……」
「強いて言えば、妻との交流を深める時間にしたい」
どうやらオルジェントがイブリーヌに宣言した言葉は、嘘ではなかったようだ。
(聞き間違いでは、ないよね……?)
信じられない気持ちでいっぱいの妻は、不安そうに彼の瞳を覗き込んで真意を確かめる。
彼女と視線を合わせたオルジェントはその様子を目にして、イブリーヌがあまり気乗りしていないのではと心配になったようだ。
先程までの有無を言わせぬ高圧的な態度から一転。
妻を労るように抱きしめる力を強めながら、気まずそうに提案をする。
「君の都合が悪いのであれば、後日改めて……」
「い、今すぐがいいです……!」
この機会を逃したら。
また夫との距離が、遠のいてしまうだろう。
そんな不安に駆られたイブリーヌは再び彼の胸元に縋りつくと、この場を離れようとした彼を呼び止めた。
「そうか。俺の妻は、最高にか……」
口元を綻ばせた夫は優しい瞳で妻を見つめると、何を言いかけたが――。
突然ピタリと、口を閉ざしてしまう。