呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「あの。陛下がもし、よろしければ……なのですが……」
「どうした」
「ヘスアドス帝国のことや……。陛下のことを、知りたいのです……。今さら、遅いかも知れないのですが……」
「物事を始めるのに、早いも遅いもないだろう」
肩の力を抜いた彼は、イブリーヌのお願いが無理難題ではなかったことに安堵したようだ。優しく微笑むと、彼女に告げた。
「俺でよければ、喜んで」
「はい……っ!」
「その前に、まずは食事だな」
夫から指摘を受けたイブリーヌは、自身が朝食を取ることなく。
話に花を咲かせていたのを思い出す。
(食事を忘れるなんて……。は、恥ずかしい……)
彼女は視線をさまよわせると、彼から身体を離そうとしたのだが……。
なぜか夫は、それを許さなかった。
「あ、あの……。陛下……」
「なんだ」
「その、食事をするなら、ベッドから降りないと……」
「そうだな」
困惑するイブリーヌを抱きしめて立ち上がった彼は、軽々と妻を持ち上げたまま移動を始める。
(自分の脚で、歩けるのに……!)
彼女はそう文句を言いたくなる気持ちをぐっと堪え、慣れない浮遊感に怯えた。
「どうした」
「ヘスアドス帝国のことや……。陛下のことを、知りたいのです……。今さら、遅いかも知れないのですが……」
「物事を始めるのに、早いも遅いもないだろう」
肩の力を抜いた彼は、イブリーヌのお願いが無理難題ではなかったことに安堵したようだ。優しく微笑むと、彼女に告げた。
「俺でよければ、喜んで」
「はい……っ!」
「その前に、まずは食事だな」
夫から指摘を受けたイブリーヌは、自身が朝食を取ることなく。
話に花を咲かせていたのを思い出す。
(食事を忘れるなんて……。は、恥ずかしい……)
彼女は視線をさまよわせると、彼から身体を離そうとしたのだが……。
なぜか夫は、それを許さなかった。
「あ、あの……。陛下……」
「なんだ」
「その、食事をするなら、ベッドから降りないと……」
「そうだな」
困惑するイブリーヌを抱きしめて立ち上がった彼は、軽々と妻を持ち上げたまま移動を始める。
(自分の脚で、歩けるのに……!)
彼女はそう文句を言いたくなる気持ちをぐっと堪え、慣れない浮遊感に怯えた。