琥珀色の溺愛 ーー社長本気ですか?
「滉輔、コーヒー入れるから手伝えよ」

彼女たちを部屋に残し滉輔とキッチンに向かい小声で滉輔に話しかける。

「とりあえず手分けして調べるか。俺はこの時点で大政に関して情報を持ってないが、危険性はないのか?彼女の保護はどうする」

「そうだな。もちろん怪しい親戚が待ち構える自宅には帰さないけど。瑠璃のところに置いておくのも危険だと思うか?」

「うーん、どうだろうな。拉致まではされるとは思えないが、何も調べてない状態だと判断が難しい。軟禁程度は普通にありそうだ」

「そうなんだよ。葵羽ちゃんの帰国後葵羽ちゃんの実家に必ず誰かがいて彼女の行動を見張ってたって言うし」

「それで夜中に抜け出してきたのかーー」

思っているよりも状況は悪いのかもしれない。
天涯孤独になったしまうよりも悪意のある親族がいる方がずっとたちが悪い。

「とりあえず今夜はお前の彼女と一緒にホテルに泊まってもらおう。それでとにかく裏に反社会的な人物がいないかと大政の経営状態は早急に調べるよ。まずはそれからだな」

もう少し詳しい話を聞き明るい時間に二人を近くのホテルに送ることにすると決めコーヒーを4人分用意する。

「ーーーお前、葵羽ちゃんに興味持っただろ」

「あ、バレた?」

「冗談なら勘弁してくれ」
俺が軽薄そうに笑ったためか滉輔がわざとらしいため息をつく。

「お前の彼女の親友だろ。もて遊ぶような真似は絶対にしないと約束するよ」

ちょっと真面目な顔をすると反対に滉輔が焦り出す。

「え、まさか本気でそっち方面でも関わろうと思ってる?」

「だとしたらどうする」

「ーーー俺の大事な女の大事な親友だってことを理解してるなら何にも言う事はないけど」

にやりと笑い親友滉輔の肩をぽんと叩いてコーヒーを持ち、彼女たちの待つ部屋へと足を向けると背後で晃輔のため息が聞こえた。







「思ったより状況は悪いかもしれない」

滉輔から連絡があったのは翌日昼のことだった。

急にホテル泊になった為、午前中に滉輔の付き添いで瑠璃が美大の学用品を取りに行こうとしたところ瑠璃のマンションの前に怪しい車が停まっていたというのだ。

「実は昨日の夜もちょっと様子を見に行ったら怪しい車が停まっていた。たぶん見張られているんだと思う。葵羽ちゃんがいなくなってあちらさんも焦ってるんじゃないか」

「捜索願とか出されても厄介だな」

こっちも昨日からいろいろなコネを総動員して大政のことを調べていた。

亡くなった葵羽の父親は人柄はいいが、経営者としてはちょっともの足りないと思われていたらしい。だが常務をはじめ古参の社員がフォローにまわり社長を引き立てて会社はうまく回っていた。

それが面白くなかったのは専務をしていた野木だ。

野木にとって社長の不幸は幸運だった。
あっという間に社内を自分のいいように整理し自分の敵になりそうな人物は本社から離した。今は名実ともに会社を牛耳っている。

背後に裏社会の人間がいないことはよかったが厄介な人物であることは間違いない。



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