琥珀色の溺愛 ーー社長本気ですか?
「目を合わせただけで妊娠とかあり得ないだろう、どんな生殖方法だよ」
「いいからお前は葵羽に近付くな」
「はいはい、うちの社長サマは奥さまがかわいくて仕方ないんですね」
「当たり前だろう」
車内で交わされている親しげな会話に入っていけず目を泳がせていたら、ルームミラー越しにロイさんと視線が合ってしまった。
薄い色素の瞳に髪はアッシュブラウン。
隙のない彫像のようなクリスとは対照的にロイさんは人懐っこいタイプのイケメン外国人だ。
視線が合った一瞬にウインクしてくるあたり確かに『目が合っただけで妊娠する』のかも。
「見るな、危ない」
私の両目がクリスの大きな手で覆われ視界が無くなった。
「ロイ、お前は前だけ見て真面目に運転しろ。じゃないともっと忙しくさせるぞ」
「はいはいーーー」
「喋るな、葵羽の耳が妊娠する」
「耳が妊娠するか?!」
・・・・・・。
ロイさんに同感。クリス、耳は妊娠しないから。
車で15分ほどの道のり、クリスとロイさんは会話していたようだけど、私の視界はずっとクリスの手によって塞がれていた。
耳にはイヤホンが差し込まれ強制的に音楽を流されていて、これはある種誘拐のようである。
まあ私の好きなアーティストのニューアルバムだったから文句はないけど。
ただ、クリスの大きい手がずっと私の目を覆っているから温かさとか香りとかーーーいろいろヤバかった。
そんなこんなで『エイプランニング』の社長室に連れて行かれた。
驚いたのはクリスの態度で、車を降りて社内に入った瞬間に表情が変わりいつもの見慣れた彫刻のような雰囲気になったのだ。もちろんラブラブアピールのために手は繋いでいるんだけど。
どこかに彫刻スイッチがあるらしい。
クリスが社長室に入るとすぐ数人の社員がやってきて業務連絡をはじめた。
私は挨拶だけしてお邪魔にならないように部屋の隅に引っ込んで気配を消しておく。
私がここに来たのは1年とちょっと振り。
久しぶりの社長室にあたりを見回すと・・・・・・わー、まだデスクに置いてあるよ、私たちの写真。しかも違うやつに変わってる。
ドレスとタキシードのも屋外で撮ったものになってるし、撮った記憶の無い頬をくっつけているものもある。
あれ本当に私かなーーー私なんだろうけど。
あの時は本当に疲れ果てていて途中から記憶が無いのだ。
何度も着替え、何パターンもの撮影。しかもスタジオからあちこち屋外へと連れ出され・・・・・・。
思わず遠い目になった。
ここでもいろいろあったなあ。書類隠されたり、全然違う数字の入ったファイル渡されたりもしたけど、あの人たち今どうしているんだろう。
あの時にラブラブな印象はつけたけど、定期的に上書きが必要なのかもね。
社員たちが出て行ったあと社長デスクに手招きされて近付くと、社長の椅子に座らされた。
「葵羽に頼みたいのはこれ。ハウスオブダリアの関係資料とここからここまでのメールのやりとり、これ全部を日向さんに送っておいて。簡単な仕事だろ?それが終わったら葵羽の自由時間。でもこの部屋からは出ないこと。コーヒーはマシン置いたからここで飲めるし。俺今からミーティングだから、よろしくな」
「え、それだけなの?」
「そうだけど」
クリスが不思議そうに首をかしげ、
「やっておきます」と私は曖昧な笑顔を作った。
お掃除するのなら社長室の外に行くのだと思ったけど、いいのかな。私も被虐趣味はないから助かるけど。
「じゃあ行ってくるから。わからないことがあったらメッセージ入れてくれ。俺が戻ったら一緒に滉輔のとこ行こう」
私の頭のてっぺんに軽いキスを落とすとタブレットを持ってミーティングに行ってしまった。
「いいからお前は葵羽に近付くな」
「はいはい、うちの社長サマは奥さまがかわいくて仕方ないんですね」
「当たり前だろう」
車内で交わされている親しげな会話に入っていけず目を泳がせていたら、ルームミラー越しにロイさんと視線が合ってしまった。
薄い色素の瞳に髪はアッシュブラウン。
隙のない彫像のようなクリスとは対照的にロイさんは人懐っこいタイプのイケメン外国人だ。
視線が合った一瞬にウインクしてくるあたり確かに『目が合っただけで妊娠する』のかも。
「見るな、危ない」
私の両目がクリスの大きな手で覆われ視界が無くなった。
「ロイ、お前は前だけ見て真面目に運転しろ。じゃないともっと忙しくさせるぞ」
「はいはいーーー」
「喋るな、葵羽の耳が妊娠する」
「耳が妊娠するか?!」
・・・・・・。
ロイさんに同感。クリス、耳は妊娠しないから。
車で15分ほどの道のり、クリスとロイさんは会話していたようだけど、私の視界はずっとクリスの手によって塞がれていた。
耳にはイヤホンが差し込まれ強制的に音楽を流されていて、これはある種誘拐のようである。
まあ私の好きなアーティストのニューアルバムだったから文句はないけど。
ただ、クリスの大きい手がずっと私の目を覆っているから温かさとか香りとかーーーいろいろヤバかった。
そんなこんなで『エイプランニング』の社長室に連れて行かれた。
驚いたのはクリスの態度で、車を降りて社内に入った瞬間に表情が変わりいつもの見慣れた彫刻のような雰囲気になったのだ。もちろんラブラブアピールのために手は繋いでいるんだけど。
どこかに彫刻スイッチがあるらしい。
クリスが社長室に入るとすぐ数人の社員がやってきて業務連絡をはじめた。
私は挨拶だけしてお邪魔にならないように部屋の隅に引っ込んで気配を消しておく。
私がここに来たのは1年とちょっと振り。
久しぶりの社長室にあたりを見回すと・・・・・・わー、まだデスクに置いてあるよ、私たちの写真。しかも違うやつに変わってる。
ドレスとタキシードのも屋外で撮ったものになってるし、撮った記憶の無い頬をくっつけているものもある。
あれ本当に私かなーーー私なんだろうけど。
あの時は本当に疲れ果てていて途中から記憶が無いのだ。
何度も着替え、何パターンもの撮影。しかもスタジオからあちこち屋外へと連れ出され・・・・・・。
思わず遠い目になった。
ここでもいろいろあったなあ。書類隠されたり、全然違う数字の入ったファイル渡されたりもしたけど、あの人たち今どうしているんだろう。
あの時にラブラブな印象はつけたけど、定期的に上書きが必要なのかもね。
社員たちが出て行ったあと社長デスクに手招きされて近付くと、社長の椅子に座らされた。
「葵羽に頼みたいのはこれ。ハウスオブダリアの関係資料とここからここまでのメールのやりとり、これ全部を日向さんに送っておいて。簡単な仕事だろ?それが終わったら葵羽の自由時間。でもこの部屋からは出ないこと。コーヒーはマシン置いたからここで飲めるし。俺今からミーティングだから、よろしくな」
「え、それだけなの?」
「そうだけど」
クリスが不思議そうに首をかしげ、
「やっておきます」と私は曖昧な笑顔を作った。
お掃除するのなら社長室の外に行くのだと思ったけど、いいのかな。私も被虐趣味はないから助かるけど。
「じゃあ行ってくるから。わからないことがあったらメッセージ入れてくれ。俺が戻ったら一緒に滉輔のとこ行こう」
私の頭のてっぺんに軽いキスを落とすとタブレットを持ってミーティングに行ってしまった。