琥珀色の溺愛 ーー社長本気ですか?
予想通り面談はあっさり終了。
デザイン室所属の二人からは少々愚痴はあったものの特に問題提起をされることもなく済んでホッとした。

これでデザイン室全員の面談は終了で残りは事務の数人を残すのみ。
それも今週中に終わる予定だ。

管理職の面談っていうより愚痴聞き係なのよね、これ。

でもまあそれで滉輔さんも知らないような細かい社内の人間関係だったり個人の様子が分かるからいいと言えばいいんだけど。


デスクに戻ると、既にクリスも戻ってきていて滉輔さんとコーヒーを飲みながら話をしていた。

室内には数人のスタッフが残っているだけで、彼らも帰り支度をしている。

「終わった?」

行き先ボードの文字を消しているとクリスが私の元にやってきた。

「はい、面談は無事に。クリスは?」
「ああ、先に終わったから奥さん待ちしてた」

うん、やっぱり一緒に帰るつもりなんだろうか。
昼に言っていた買い物しながら帰宅ってやつ。
それで今夜も泊まって明日の朝も一緒に朝ご飯食べるつもり?

「早く帰ろう。久しぶりに夜の予定がないんだ、自宅で奥さんとゆっくりしたい」

意味ありげに微笑みながら私の髪を撫で「ほら支度して」と促してくる。

見慣れている滉輔さんたちも苦笑している。

ここにはクリスを狙う女子社員はいないからそんなラブラブアピールいらないんだけど、昨日からいかなる時も私にはこの態度と彼の中で標準化されてしまったのかもしれない。

でも帰る前に面談の内容を入力しておきたいんだけどな。
メモはしたけど、記憶が確かなうちにしっかり記録に残しておきたい。

「じゃあ10分。早く終わらせること」

私の考えに気づいたクリスがそう言って滉輔さんのところに戻っていった。
すごい、なにも言ってないのにわかるんだ。

でも、時間の猶予はもらえたけど、一緒に帰らないという選択肢はないのか。

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