琥珀色の溺愛 ーー社長本気ですか?

刺客現る

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スマホのアラームより先に目が覚めた。

すごくよく眠れた。
美容的にはよくないけど、昨日たくさん食べて寝たからかも。

それにしても昨日のお肉は美味しかった。
極上サーロインのお寿司も、私が知らない名前のお肉も。
生きててよかったなんて思ってしまうほどの美味しさに思い出しても喉が鳴りそうだ。

また連れて行ってもらえるかなー。

ベッドの中で大きく伸びをしようとして固まった。

え、待って、待って、待って。
な、な、なんでここにこの人が・・・・・・。

私のベッドの中にクリスがいた。
私から少し離れてはいるけれど同じベッドで。
どうして自分のベッドじゃなくてここで寝ているのよー。

ドラマではよくあるシチュエーションだけど、実際の身に起きると声も出せないし硬直してしまうらしい。

これって下手に騒いで起こさない方がいいのかも・・・・・・。
静かに呼吸を整えてみるけれど、心臓のバクバクは中々おさまってはくれない。
喉元に心臓があるようで耳に拍動が響いてくる。

クリスはぐっすりと眠っていた。

隣で寝ているクリスは目眩がするほど麗しい。
きめ細かい肌、スッと伸びた鼻筋、すっきりとした顎のライン、閉じた目も美しいって。
それにあのくちびる・・・・・・。

あの唇にーーーあの唇とーーー
あの唇だ。

私、この人と口と口でキスしてる。
思い出し全身が熱くなってきた。
まずい、発火しそう。


どうしよう、絶対に私を殺そうとしている。

ーーーー誰か助けて

この状態は明らかに私を殺そうとしている。

ーーー死ぬっ。
寝姿まで神のように美しい芸術作品のクリスと同じベッドで寝ているなんて、本当に緊張で死んじゃう。

でも、この造形をこんな近くで誰にも邪魔されずにじっくり見つめることが出来るなんてーーーーちょっとご褒美。琥珀色の瞳も見たいけど、目を開けられたらもう見られない。


その寝顔をじいっと見ていたら、ふるふると長いまつげが震えゆっくりとその瞼が開いていく。

や、ヤバイ。目覚めようとしてる・・・・・・。

逃げてしまおうか、いやもう間に合わない。
じゃあここは寝たふりーーー?


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