琥珀色の溺愛 ーー社長本気ですか?
「だだだだ大丈夫。ちゃんと生きた男性だって知ってるし、当たり前だけど彫刻だなんて本気で考えていたわけじゃないし。あまりに整いすぎて見とれてただけーーーってお願いだからそんなに正面から顔を近づけないで」

冷蔵庫ドンされ両頬をがっちりと固定されたら顔を動かせない。

目の前にはあの琥珀色の瞳と薄い唇。

「だめだな。今日こそはお仕置きが必要だと思うんだ」

おしおき・・・・・・。絶望的な響きに喉がゴクリと鳴る。

教育じゃなくてお仕置きーーー
蛇に睨まれたカエルってこういう感じなのかもと思ったらクリスの顔が更に近付いてきて、すぐそこで止まる。

触れていないのに体温を肌で感じる。
ピシリと身体がかたまり動けない。

触れていないのにいつものキスより恥ずかしいってどんな拷問っ。

クリスの吐息が頬に鼻に唇にかかる。
って事は私の息もクリスにかかっているってことで・・・・・・息を止めた。

「息を止めたらだめだろ」

吐息のような囁きと共に唇を塞がれ、驚いた拍子に息を吸ったら開いた唇の間から温かくて柔らかいものが入ってきて・・・・・・執拗に舌を追いかけ回され
・・・・・・腰が抜けた。

「おっと、朝からやり過ぎたか」
キッチンの床にへたり込みそうになった私の腰を間一髪で受け止めたクリスが苦笑している。

手加減ってものを知らないのか、と言ってやりたい。こっちは素人なんだから。
そう思うだけで口には出さなかった。
余分なことを言うとまた”教育的な何か”をされてしまいそうで。

「生身の男だってわかったよなーーー葵羽、そんな顔で見るなって。もしかしてもっとされたいのか?」

はあ?そんな顔ってどんな顔よ。煽ってない、私は絶対に煽ってない。
半泣きで睨んでやると大きなため息をつかれた。

「はいはい、ごめんごめん」
おざなりな謝罪をしながら私を軽々と抱き上げるとキッチンからダイニングに運びゆっくりとダイニングチェアに下ろした。

「もう少しで朝食出来るから、そこでイイコで新聞読んで待ってな」

子どもにするように私の頭を撫でてキッチンに戻って行く。

あーもう、何か悔しいー。
敗北感がハンパないんですけど。

大体勝てるわけがない、あのお色気スナイパーに。

べったりとダイニングテーブルに突っ伏して朝食が出来るのを待った。
絶対に手伝わないと鋼の決意をして。

それからすぐに並べられた朝食を黙々といただいた。
もちろんいただきますの挨拶はしたけど。

話しかけられても、熟年夫婦みたいにうんとかううんとかおざなりの返事を返してやるのに、クリスにはちっとも効果が無いらしくクスクス笑われるだけだった。

・・・・・・虚しい。

食後も昨日と同様片付けはいいと言われて出勤の支度をするように追い出された。






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