琥珀色の溺愛 ーー社長本気ですか?
「伊勢君さあ、今のこの二人見て何で間に割り込めると思うわけ。どう見てもムリでしょ。ちゃんと見てごらんよ、葵羽ちゃんの手、今どこにある?」
伊勢さんの視線が私の腕に注がれ、悔しそうなちょっと悲しそうな顔をしたあと離れていった。
私は両方の手で私を背後から包みこんでくれているクリスの腕をしっかりと掴んでいる。
「わかっただろ。葵羽ちゃんが頼りたい、守られたいと望むのはこの男だけ。他の男は眼中にないんだ。このまま葵羽ちゃんのことを好きでいるのは構わないけど、葵羽ちゃんに嫌われたくなかったら二人の邪魔はしない方がいいと思うな」
伊勢さんが口元がきゅっと締まる。
滉輔さんは更に続けた。
「伊勢君は野木隆一に騙されたんだ。でも、そもそもの原因はキミの彼女にあるんだけど。知ってるかい、彼女の浮気相手が誰か」
「え?」
「彼女の浮気相手は影村翔太。株式会社オーマサの社員で葵羽ちゃんの従兄弟の野木隆一の小判鮫みたいな部下だ。きみの彼女、影村に自分の彼氏が自分のことを相手にしてくれないのは忙しいからじゃなくて一緒に働いている社長の奥さんのことが好きになったからだなんて愚痴をこぼしたらしい。その情報を元に野木が偶然を装って伊勢君に声を掛け契約結婚なんて偽の情報を流して二人の間を裂くように働きかけた」
「どうしてそんなことをーーー」
伊勢さんの顔色が更に悪くなる。
「どうしてってどれのこと?伊勢君の彼女が浮気してその相手にプライベートを話したことなのか、なぜ浮気相手が影村だったのか、それともどうしてそんなことを俺が知っているのかってことか」
「・・・・・・その全部です」
「さすがに伊勢君の彼女の浮気理由は知らないよ。俺はーーー俺たちは近頃社長に恋人がいるとか社長夫妻は契約結婚だなんて変な噂が出ていることを知って調べていたのさ。その噂を撒いていたのが隆一で、更に調べて引っかかったのが伊勢君の彼女だったってわけ。普通ならただの浮気で済んだかもしれないけど浮気相手が悪かったな。隙があったから影村と野木にいいように利用されたんだ」
伊勢さんはがっくりと肩を落とした。
「続きは会社の中で話そうか。伊勢君にも確認しておきたいことがあるし」
滉輔さんが促すと今度は伊勢さんも素直に頷き促されるままエントランスに向かっていった。
「クリスと葵羽ちゃんはどうする。午後半休にするか?」
ニヤニヤとからかうような顔をされて私の顔は羞恥に染まる。
「そうしたいところだけど、急がなきゃならないこともあるし早退はしない。でも少し妻と再会を喜ぶ時間はもらうぞ」
「そうか。じゃあ先に戻っているから」
滉輔さんは伊勢さんを追うように駆け足でビルの中に戻っていった。
いつまでも外にいるわけにもいかず私たち手を繋いで歩き出した。
離されてしまった身体が薄ら寒く感じる。
伊勢さんの視線が私の腕に注がれ、悔しそうなちょっと悲しそうな顔をしたあと離れていった。
私は両方の手で私を背後から包みこんでくれているクリスの腕をしっかりと掴んでいる。
「わかっただろ。葵羽ちゃんが頼りたい、守られたいと望むのはこの男だけ。他の男は眼中にないんだ。このまま葵羽ちゃんのことを好きでいるのは構わないけど、葵羽ちゃんに嫌われたくなかったら二人の邪魔はしない方がいいと思うな」
伊勢さんが口元がきゅっと締まる。
滉輔さんは更に続けた。
「伊勢君は野木隆一に騙されたんだ。でも、そもそもの原因はキミの彼女にあるんだけど。知ってるかい、彼女の浮気相手が誰か」
「え?」
「彼女の浮気相手は影村翔太。株式会社オーマサの社員で葵羽ちゃんの従兄弟の野木隆一の小判鮫みたいな部下だ。きみの彼女、影村に自分の彼氏が自分のことを相手にしてくれないのは忙しいからじゃなくて一緒に働いている社長の奥さんのことが好きになったからだなんて愚痴をこぼしたらしい。その情報を元に野木が偶然を装って伊勢君に声を掛け契約結婚なんて偽の情報を流して二人の間を裂くように働きかけた」
「どうしてそんなことをーーー」
伊勢さんの顔色が更に悪くなる。
「どうしてってどれのこと?伊勢君の彼女が浮気してその相手にプライベートを話したことなのか、なぜ浮気相手が影村だったのか、それともどうしてそんなことを俺が知っているのかってことか」
「・・・・・・その全部です」
「さすがに伊勢君の彼女の浮気理由は知らないよ。俺はーーー俺たちは近頃社長に恋人がいるとか社長夫妻は契約結婚だなんて変な噂が出ていることを知って調べていたのさ。その噂を撒いていたのが隆一で、更に調べて引っかかったのが伊勢君の彼女だったってわけ。普通ならただの浮気で済んだかもしれないけど浮気相手が悪かったな。隙があったから影村と野木にいいように利用されたんだ」
伊勢さんはがっくりと肩を落とした。
「続きは会社の中で話そうか。伊勢君にも確認しておきたいことがあるし」
滉輔さんが促すと今度は伊勢さんも素直に頷き促されるままエントランスに向かっていった。
「クリスと葵羽ちゃんはどうする。午後半休にするか?」
ニヤニヤとからかうような顔をされて私の顔は羞恥に染まる。
「そうしたいところだけど、急がなきゃならないこともあるし早退はしない。でも少し妻と再会を喜ぶ時間はもらうぞ」
「そうか。じゃあ先に戻っているから」
滉輔さんは伊勢さんを追うように駆け足でビルの中に戻っていった。
いつまでも外にいるわけにもいかず私たち手を繋いで歩き出した。
離されてしまった身体が薄ら寒く感じる。