琥珀色の溺愛 ーー社長本気ですか?
***

それから無事パパとママ(こう呼ぶように義父と義母に言われた)に会って挨拶をすると、お二人から熱烈な歓迎を受け本当に驚いた。

クリスはご両親のどちらにも似ていて、それは見た目だけじゃなく中身も同様。三人で私のことを構い倒してくるのだからおかしくてたまらなかった。

若い夫婦は別棟に泊まりなさいと送り出されたのは何と隣の島にある別荘。
そんなわけで、二人きりでお庭のベンチに座り満天の星空を眺めている。

クリスはわたしの隣にピッタリと座り、自然な流れでわたしの頬をするりと撫でる。
そんなスキンシップも距離感ももうすっかり慣れたというか麻痺してきた。

「私たちいつまでここにいるの?」

「・・・次の行き先が決まったらってとこかな」

「それにそんなに日本を離れてクリスの仕事の方はいいの?」

「全く問題ない。今は無職だしな」

「無職????」

がばりと身体を起こしてクリスの顔を見つめると清々しい笑顔を返される。

「新婚旅行、まだ行ってなかっただろう。ここにいる間に決めて出掛けよう。時間はたっぷりあることだし」

「新婚旅行の話じゃなくて仕事の話!無職ってどういうこと?クリスが持ってる会社って滉輔さんのとこだけじゃないでしょ。全部でいくつあるのか知らないけど」

「全部譲った」

さらりと知らされる衝撃の事実。

全部?全部ってどういうこと。
もしかしてしばらくいなかったのってそういうこと?
慌てて経営権を委譲するなんてただ事じゃないはず。

「何があったの?それってわたしに関係あることで経営権を手放さなきゃいけなくなったとかーー大政なの?大政の会社が何か関係あるの?」

「いや、ちょっと違うから落ち着け」

どうしよう、大変なことになってしまった。
わたしってクリスにとって疫病神なんじゃないだろうか。

「葵羽、おちつけって。大政のせいでも葵羽のせいでもないから」

涙目になったわたしを落ち着かせようと抱きしめ背中をトントンされる。

「でも、でも・・・・・・」

「だから、今回の件は俺の我儘なんだ」

涙のにじんだ瞼の横にキスをされ驚きで動きが止まってしまう。

「今のままじゃ忙しすぎて葵羽との時間が作れないから社長の座も降りて経営権も一切ない立場になりたかった。それに滉輔のところだけじゃなくてどの会社も後継者は育ててある。もともと俺は箱を作り人材を育てることが目的で仕事をしていたから。譲ったのがこのタイミングだったってだけ」

目線を上げるとクリスがわたしの両頬をその大きな温かい手で挟み込んだ。

「いろいろ強引だったのは悪かったと思ってる。だけど、伊勢はあのまま放っておくとストーカー化しそうだったし大政の会社の方の動きが怪しかった。それに長谷川社長の件もあったし、この際葵羽を連れてしがらみのないところで遅ればせながら新婚生活を満喫したかったっていうのが本音」

えええ。
新婚生活》》の言葉にわたしの体温が急上昇した。
たぶん顔は真っ赤だ。
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