琥珀色の溺愛 ーー社長本気ですか?

確かに結婚して3年弱、私たちはまともに一緒に暮らしたことはないけど。

新婚生活っていう言葉の響きが妙にエロティックなのは気のせいじゃない気がする。
現にクリスの目や表情から甘い何かが出てる気がするし。

「俺は葵羽が好きだけど葵羽も俺のことが好きだろ。自分の事を俺の妻だと他人に言い切る程には」

「あ、やだっ、あのCAさんとの会話を聞いてたのねっ」

「嬉しかったよ。他の女に触られたくないと思うくらいに愛情を向けられてるってわかったからな」

にやりと笑うとぎゅっと抱きしめ耳に軽いキスをして首元に顔を押しつけてくる。

「なあ葵羽。あとできちんとプロポーズもする。だから帰りたいなんて言わないで欲しい」

生クリームにも似たとろりと甘い言葉が耳に響いてくる。
じわじわと身体の中に広がって甘い期待と喜びに心が震える。

「クリスはわたしのこと女として好きでいてくれる?本当の奥さんにしてくれる?」

「初めから葵羽は俺の唯一だよ」

そう言うが早いかすぐに唇を塞がれた。

わたしにも伝えたい想いがあるのだけど、あいにく言葉にする勇気はない。悲しいかなこれが恋愛経験のなさというものだ。

次第に深くなるキスに翻弄されていく。

「ん・・・」思わず漏れた自分の色を帯びた声に恥ずかしくなり身体を離そうとすると反対に抱え込まれてしまう。

「これが愛する人とのキス。覚えて」

束の間離された唇に囁きが落とされたけれどまたすぐに塞がれる。
キッチンでされたものより強い刺激と身体のうずくような陶酔に似た感覚にじわりと涙が浮かんでくる。

唇を離されたときには酸欠なのか息が苦しくなってクリスの大きな胸にぺたりと頬をくっつけてしがみついた。

気持ちいい
キスもクリスの広い胸も体温も。

黙って目を閉じ身を任せていたらどんどん身体の力が抜けていく。

ーーーーー眠い。

やれやれ、ここからだっていうのに・・・・・・なんて声が意識が落ちる前に聞こえたような気がするけれど、気のせいだ。たぶん。
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