純恋〜ひとつの光〜


階段を下りるとそこにはピカピカに磨かれた一台の黒のフルスモークの外車。

その車の横には部下と言っていたあのガーベラを買いにくる男性がジッと険しい顔でこちらを見ていた。

「さ、乗って」

耀くんが私を後部座席に乗せる。

「青葉!」

その時、太一の声がして私は振り返ろうとする。

「振り返るな。もう、元には戻れない」

耀くんが、私を隠すように立ちはだかる。

元には戻れない…

わかってた。

わかってたの。

太一はもう、私を想ってくれてないって…

「青葉! お前、誰だよそいつ!」

太一がまた叫ぶ。

「耀くん…私っ…どうしたら…」

「相手にするだけ無駄だ。さ、乗って」

その声がとても優しくて、私は言う通りに振り返らず車に乗り込んだ。

どこへ向かって走ってるのかもわからないまま、過去を振り返る。

出会ったばかりのあの頃を。
< 31 / 251 >

この作品をシェア

pagetop