純恋〜ひとつの光〜

「ちょっと来い」

そう言って太一にまた手を取られどこかに向かって早歩きで私を引っ張りながら連れて行かれる。

着いた先は太一が住む大きな一軒家だった。

有無を言わさず家の中に入れられると、ソファに座らされる。

「それ、どうしたんだよ」

そう言って手形の付いたアザに湿布を貼ってくれる太一。

私は俯いたまま何も話せない。

「言えないのか？」

どうしよう…
言ってもいいのかな…

「大丈夫だ、俺も誰にも言わないから」

太一は優しく私に声をかける。

太一…

「実は…」

私は父親から暴力を振るわれている事を太一に話した。

「……そんな事が…。なぁ、ならここに住めよ」

「え？」

太一が急にそんな事を言い出した。

「お前、家に帰ったらまた殴られるんだろ？　ここは俺しか住んでないし」