次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜
「みんなは何にする?」
私が聞くと、みんな一斉に答える。
「俺はココナッツミルクカレーにしようかな」
「僕はココナッツミルクカレーにする」
「私はこのアボカドのせハンバーグにしようかな」
ご飯に行くとたまにこういうことあったなぁ……みんな一斉に話すからなにがなんだかわからなくなるんだよ。
だけど、今の私は飲食店の店員だ。仕事で何度かこんな場面遭遇することもあるため、大体聞き取れる。
「えっと、ココナッツカレーが桜志くんと理人くんでアボカドハンバーグが瑞希ね。飲み物はどうする? お酒も美味しいからおすすめだよ」
「そうなの? でも、聖菜は飲めないよね」
「うん、でも気にしないで飲んで」
「じゃ、遠慮なくー! 私は、赤飲みたい」
瑞希がそう言えば桜志くんたちも同じ赤ワインにするらしく、私はユウさんを呼ばず注文しに奥に声をかける。
「ユウさーん、ここで注文いい?」
「あ、はーい! ありがとう。どうぞ」
「ココナッツカレー二つにアボカドハンバーグ一つにフレンチトースト一つお願いします。ドリンクは赤ワイン三つで一つノンアルのピーチ烏龍茶を」
「了解です、きっと料理長にも聞こえたと思うよ」
ユウさんはお冷の準備をしてくれていたので「私持って行くね」とトレーにお冷とおしぼりを乗せて持ち上げた。
「ごめん、ありがとう。だけどやっぱり聖菜ちゃん、本業だからか気が効くよねー。痒いところに手が届くというか、ほしい人材だわ」
「あはは、それはありがとう。じゃ、よろしくね」