次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜



「みんなは何にする?」


 私が聞くと、みんな一斉に答える。


「俺はココナッツミルクカレーにしようかな」
「僕はココナッツミルクカレーにする」
「私はこのアボカドのせハンバーグにしようかな」


 ご飯に行くとたまにこういうことあったなぁ……みんな一斉に話すからなにがなんだかわからなくなるんだよ。

 だけど、今の私は飲食店の店員だ。仕事で何度かこんな場面遭遇することもあるため、大体聞き取れる。


「えっと、ココナッツカレーが桜志くんと理人くんでアボカドハンバーグが瑞希ね。飲み物はどうする? お酒も美味しいからおすすめだよ」

「そうなの? でも、聖菜は飲めないよね」

「うん、でも気にしないで飲んで」

「じゃ、遠慮なくー! 私は、赤飲みたい」


 瑞希がそう言えば桜志くんたちも同じ赤ワインにするらしく、私はユウさんを呼ばず注文しに奥に声をかける。


「ユウさーん、ここで注文いい?」

「あ、はーい! ありがとう。どうぞ」

「ココナッツカレー二つにアボカドハンバーグ一つにフレンチトースト一つお願いします。ドリンクは赤ワイン三つで一つノンアルのピーチ烏龍茶を」

「了解です、きっと料理長にも聞こえたと思うよ」


 ユウさんはお冷の準備をしてくれていたので「私持って行くね」とトレーにお冷とおしぼりを乗せて持ち上げた。



「ごめん、ありがとう。だけどやっぱり聖菜ちゃん、本業だからか気が効くよねー。痒いところに手が届くというか、ほしい人材だわ」

「あはは、それはありがとう。じゃ、よろしくね」



< 126 / 163 >

この作品をシェア

pagetop