次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜
「ちゃんと謝ればいいだろう? この前は何も言えなくてすまなかった、ごめんな、ってそれだけ言えばいいだろ……」
「それが言えたら苦労しない」
「小学生か、お前は。数日前までは仕事が円滑すぎるほど円滑だったのに、なんでこうなる。仕事効率が下がってるんだが……そういえば桜志が円滑な時って、大体、聖菜絡みだったわ」
理人は何かぶつぶつと言っているのを聞いているとドアのノック音が三回聞こえてきた。
理人が俺に確認してから「はい」と返事をすると、俺が社長に就任前に本部長になった男がいた。
この男は聖菜の元上司であり、父方の親戚で聖菜の出した辞表を俺に報告もせず受理した男だ。こいつが来るときは、問題しかない。
「社長、今日はいい話を持ってきましたよ」
「いい話ですか? 私にとっていい話なのでしょうか?」
「えぇ、もちろん。社長の伴侶にどうかと思うご令嬢でして、旧財閥榛名家の方でとても後ろ盾がいい。君が就任して実績を残しているのは知っている。だがまだまだ基盤が足りない。社長にとってはまだまだ支援してくださる方は少数だ。いい基盤になると思う」
この男はなぜか得意げに話し出し聞いてもいないのにペラペラと話している。早く終わらないものか……