十五年の石化から目覚めた元王女は、夫と娘から溺愛される
背の高い、男性だ。立派な騎士団の制服姿の彼は廊下の明かりを背に立っており、右手に薔薇の花束、左手に鍵束を手にしている。
彼はカミラを見て、動きを止めた。その手から鍵束が落ち、派手な音を立てる。
カミラは精一杯の笑みを浮かべてベッドから立ち上がった。
「おかえりなさい、ルーク」
「っ……」
ルークの右手から、花束も落ちる。そして彼は大股三歩でカミラのもとまで来て、大きな手のひらでカミラの肩をそっと掴んだ。
近くまで来たので、カミラにもルークの顔がよく見えた。夫の顔は、まさに十六歳の頃の彼がそのまま年を重ねたものだった。
目元や口周りは成人男性らしいりりしさを持っており、目の下にうっすらと皺がある。だが娘も「見目がいい」と認めるほど、三十三歳のルークは格好よかった。
「カミラ、様……?」
ルークの喉が震え、かすれた声で名前を呼ばれる。
「本当に、カミラ様……? 石化から目覚めて……?」
「はい。ずっと、心配させてごめんなさい」
カミラがルークの頬をそっと撫でて言った途端、カミラの手の甲を温かいものが伝った。
ルークが、泣いている。
あの素っ気ない少年だったルークがぽろぽろと涙をこぼし、カミラの手や肩を濡らしている。
「カミラ様……!」
叫ぶように名を呼んだルークは、かき抱くようにカミラの体を抱きしめた。
あのルークがこんな情熱的な行動に移るとは思っていなかったカミラが固まるのをよそに、ルークはカミラの肩に顔を埋めて涙混じりの声で言う。
「本当に、あなたが復活している……! カミラ様、カミラ様。ずっと、あなたにお会いしたかった……! もう一度、私の名を呼んでほしかった……!」
「ルーク……」
「夢か? ああ、そうだ。これはきっと夢だ。どうしよう、カミラ様に会いたすぎて幻が見えているのか……?」
「わっ、待って、ルーク。夢じゃないわよ!」
ぶつぶつ言いながらおかしな方向に走りそうになった夫の背中を叩き、体を離したルークにメッと指を突きつける。
「幻じゃなくて、私はちゃんと目覚めたわ。十五年前に起きたことも今のことも、ディアドラから教えてもらったわ」
「……本当に、あなたなのですね」
娘の名前で一気に冷静になれたようで、ハシバミ色の目に見つめられたカミラは笑顔でうなずいた。
彼はカミラを見て、動きを止めた。その手から鍵束が落ち、派手な音を立てる。
カミラは精一杯の笑みを浮かべてベッドから立ち上がった。
「おかえりなさい、ルーク」
「っ……」
ルークの右手から、花束も落ちる。そして彼は大股三歩でカミラのもとまで来て、大きな手のひらでカミラの肩をそっと掴んだ。
近くまで来たので、カミラにもルークの顔がよく見えた。夫の顔は、まさに十六歳の頃の彼がそのまま年を重ねたものだった。
目元や口周りは成人男性らしいりりしさを持っており、目の下にうっすらと皺がある。だが娘も「見目がいい」と認めるほど、三十三歳のルークは格好よかった。
「カミラ、様……?」
ルークの喉が震え、かすれた声で名前を呼ばれる。
「本当に、カミラ様……? 石化から目覚めて……?」
「はい。ずっと、心配させてごめんなさい」
カミラがルークの頬をそっと撫でて言った途端、カミラの手の甲を温かいものが伝った。
ルークが、泣いている。
あの素っ気ない少年だったルークがぽろぽろと涙をこぼし、カミラの手や肩を濡らしている。
「カミラ様……!」
叫ぶように名を呼んだルークは、かき抱くようにカミラの体を抱きしめた。
あのルークがこんな情熱的な行動に移るとは思っていなかったカミラが固まるのをよそに、ルークはカミラの肩に顔を埋めて涙混じりの声で言う。
「本当に、あなたが復活している……! カミラ様、カミラ様。ずっと、あなたにお会いしたかった……! もう一度、私の名を呼んでほしかった……!」
「ルーク……」
「夢か? ああ、そうだ。これはきっと夢だ。どうしよう、カミラ様に会いたすぎて幻が見えているのか……?」
「わっ、待って、ルーク。夢じゃないわよ!」
ぶつぶつ言いながらおかしな方向に走りそうになった夫の背中を叩き、体を離したルークにメッと指を突きつける。
「幻じゃなくて、私はちゃんと目覚めたわ。十五年前に起きたことも今のことも、ディアドラから教えてもらったわ」
「……本当に、あなたなのですね」
娘の名前で一気に冷静になれたようで、ハシバミ色の目に見つめられたカミラは笑顔でうなずいた。