コドカレ。


「見せてもいーよ」

「え……」

「ねぇ、見たい?」

「も、……もういい!」

「なんで?」

「も、いいから!!」

そう叫ぶ男の子がソファに座りながも前屈みになったから、理由は簡単に想像出来た。


「あー、そっか!反応しちゃったんだ」

なんてクスクス笑う私は、自分で思っている以上にサディストなのかもしれない。


「ちょっ、待っ……」

「大丈夫、大丈夫」

男の子の"待った"なんてスルー当たり前で。


「いて、いてーし」

「最初だけだから」

薄暗い部屋でも涙目になっているのが分かる。


「い………、」

「大丈夫だってば」

"大丈夫"なんて言葉はなんの根拠も無いけれど。


「ア、アイツら!アイツら帰ってくるから!!」

「空気読むでしょ」


この小さな空間の中で、小学生相手をいい事に私は最低だと思う。


***


「なにすんだよ!!」


だから、男の子のこの言い分は正しいと思う。


「あんたが教えてって言うからでしょ」

だからといって私の言い分も間違ってない……とは言いきれない。


「……っ、」

「あっ、お子様にはちょっと刺激的過ぎたかな」

「べっ、別にたいした事じゃねーよ!」

男の子が涙目でそう叫んだところで、メグともう1人の男の子が帰ってきた。


「遅くなってゴメーン。……て、どうしたの?」

私達の雰囲気に気付いてメグが口を開くと同時に、


「帰ろうぜ!」

私と一緒に部屋で過ごしたチビの男の子がそう叫んで、もう1人の男の子の腕を掴んで出て行った。

カラオケBOXの部屋の中に残されたのはメグと私。


「……あんた何やったの?」

メグが眉間に皺を寄せて聞いてきたのは言うまでもない。

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