天使の階段
家に帰った後、カレンダーを確認してみる。

私は生理がいつ来たか忘れないように、小さな印をカレンダーに付けておくのだが、2ヶ月過ぎても来ていない。

「うそ……」

大会の事が気になって、全く気にしていなかった。

「そうよ。ストレスで遅れてるだけよ。」

自分に言い聞かせて、もう一度カレンダーを、数え直してみる。

だけど数え直せば数え直すほど、胸に不安がよぎる。

普通なら、今頃3度目が来てもいい頃だ。


“妊娠“


その単語が頭の中を駆け巡る。


「嘘よ。そんな事あるわけない。」

必死にタカさんと会った夜を、思い出す。

でも記憶が曖昧で、細かいところまで、覚えていない。

「ストレスよ!」

枕を取って、壁に投げた。

でも、本当は分かっている。

ストレスで遅れたとしても、3ヶ月近くも来ないなんて、今まで1度もなかった。

自分の中で、言い様のない不安が、どんどん膨れ上がっていた。
< 19 / 81 >

この作品をシェア

pagetop