天使の階段
連れて行かれたのは、大きな鏡の前だった。

「木下。次はこの子だ。」

「はい?」

おしゃれな感じの、お兄さんが振り向く。

「名前は?」

「あっ、桜井寧々です。」

「桜井寧々さんだそうだ。頼むぞ。」

そう言って、髪の長い男の人は、行ってしまった。


「ごめんね。拓未さん、悪い人じゃないだけどさ。」

木下と言われた人は、人懐っこい感じで、私を迎え入れてくれた。

「はい。私をここまで案内してくれましたから。悪い人じゃない事は、分かりました。」

「はははっ!」

木下さんはおもむろに、衣装が掛けられている場所へ行くと、2、3着を手に取った。

「はい。早速だけど、寧々ちゃん。これに着替えて来て。」

「えっ!!」

突然、私の手の中に衣装が渡された。

「着替える場所は、ここだから。」

カーテンを開けたところは、まるでショップの試着室のような場所だ。

「サイズ、合わないようだったら言ってね。」

木下さんは私の背中を押すと、シャーッと、カーテンを閉めた。
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