私の世界を終わらせた恋

9

 お願いしたときには、1回限りのつもりだった。
 それでも何となく、翌日も、そしてそのまた翌日も……となった。
 そうしていつの間にか、私のルーティンに、ライムくんとの放課後のお喋りが加わっていた。

 回を重ねる毎に、その内容は当初の目的からはずれていった。

 とはいえ、ライムくんが何者かなんて問い詰めなくたって、ただ一緒に過ごしているだけで自然と分かってくる。
 だったらそれでいいじゃない、と思う。

 ライムくんはひとりで行動することが多いし、私のことも最初は避けていたものの、実は人付き合いがいいってことだって、こうして分かったんだし。

 ──だけど、実はそれだけでない気がしてきている。
 気のせいにして片付けてしまうには、あまりにも私に向けてくる眼差しが優しい。
 そうして視線が交わると、さらに優しく微笑むのだ。

 ライムくんって、そうなんじゃないかな?

 一度期待してしまうと、無理だった。
 それは独りでに、どんどん膨らんでいった。
 そうしてあっという間に、私のことをどう思っているのか、はっきり訊きたくて我慢できないほどに大きくなってしまったのだった──
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