『人妻の過去』
望まない妊娠に戸惑って。


ツワリに苦しんで…


寝て、寝て、寝て…


仁君の『諦めて』の言葉。


1人で生んで育てる意志のないアタシ…


赤ちゃんはなんでアタシと仁君を親に選んだんだろう…。


他の人を選んでいたら、生まれて来れたかもしれないのに…。


母性を持てなかった自分。


赤ちゃんより自分を優先してしまう自分…


全てが申し訳なくて…


腹が立って…


涙が出そうになった。


でも泣いちゃいけない。


だって…


自分達のしたこと。


自分達で決めたこと。


泣くくらいなら産んであげなきゃ…


泣きたいのはきっと…


今もアタシの子宮に、一生懸命くっついている


赤ちゃん


これから器械で掻き出されて


殺されてしまう


赤ちゃん…。





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