超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する
「俺は、この先どうなるんだろーな」

ポツリとシンが呟く。
テラスは聞こえていたが、あえて何も言わなかった。
これはシンの問題なのだ。
彼が自分で考え、自分で答えを出すものである。
しかし、何も言わないテラスがシンには不満だった。

「かわいい悩める後輩のために、アドバイスはねーのかよ」

「全然かわいくないよ」

「何か言えよ」

それでも言葉がほしいシン。

「う~ん、少なくとも去年の私よりずっと、シンの方がきちんと考えていると思うよ。偉いと思う。
それに、こういうのって結局自分次第だから、答えは他の人に聞いても意味がないんじゃないかな」

シンは黙り込んでしまった。
テラスはそっとしておくことにする。
黙々と2人は廊下を歩き、外に出た。

「…あっ!」

そしてテラスは驚いた。

「お、噂をすれば色男」

アンセムが外で待っていたのである。
まさかいるとは思わなかったので、心の準備ができていなかったテラスは動揺した。
昨日は結局あのままバタバタと別れたのである。
どんな顔をすればいいんだ?
昨日のキスを思い出し、テラスは赤面した。

そんな表情の変化を隣で見ていたシン。
本当にあの男の事が好きなんだな、と思う。しかし…。

「何真っ赤になってんだ?さては昨日やったのか?」

わざと顔を近づけて、耳元で囁くように聞いた。

「は、はぁ!?」

唐突にとんでもないことを言われ、眉間にしわを寄せるテラス。

「なんだ、まだやってないのか」

わかりやすいテラスの反応で、2人の仲はまだまだ発展途上だとシンは確信した。

「セクハラシンは嫌いだ。じゃ、また明日ね」

テラスはそう言って、アンセムのもとへ駆けて行った。
シンはアンセムを見る。
恐~い目で睨まれてしまった。
しかし、すぐに目は逸らされる。
アンセムは非常に不機嫌そうな顔をしていた。

(確かに、あまり冷静じゃなさそーだな)

シンは心の中で呟いた。
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