超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する
「いいや、とくに約束はしていないんだ」

平静を保った。

「そうなんですか。
なんだか2人とも、とっても安定してますね。お互いのペースが掴めてるっていうか」

「そうかな?」

「はい。もう付き合って結構経ちますもんね」

「もうすぐ3ヶ月かな」

「それぐらいすると、お互いわかりあえるものですか?」

「う~ん、どうだろう…」

その問にアンセムは考え込んでしまった。

「テラスは難解だからね」

「苦労してるんですね」

(君たちのお陰でね…)

心の中だけで呟くアンセム。

「もしかして、未だに最後までしてないんですか?」

ストレートな質問にアンセムは面食らった。

「わざわざ聞くこともないと思うけどな」

「まだなんですね…」

「今日は随分といろいろ聞いてくるけど、どうしたんだ?」

昨日のことでナミルの気持ちに変化があったのだろうが、それを知っているとは言えないアンセムは、さり気なく会話を誘導することにした。

「え?私いつもと違います?」

付き合い初めでちょっぴり自意識過剰なナミルだ。
アンセムは頷く。

「あの、実は私にも恋人ができたんです」

ナミルはとっておきの秘密を打ち明ける子どものように表情を輝かせた。

「そうか、おめでとう。…で、相手は誰なんだ?」

祝福の言葉の後に、慌てて言葉をつけたした。
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