超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する
「オレは随分と待っているよ」

「うん、ごめん…」

「だけど、最初に比べたら、テラスはオレに随分馴染んでくれているよね?」

「確かに」

「今日頑張ってもらわなくても、近い内にテラスが本心からオレと夜過ごすことを望んでくれると思っていたんだ」

「げげっ!」

「なんだ、その反応。読み違えたかな」

そう言いつつも、アンセムは笑顔である。

「だから、もう少し待つよ。今日は気持ちだけありがたく受け取っておく」

「それでいいの?」

「もちろん」

アンセムは大きく頷いた。

「その代わり、テラスが本心でオレを求めてくれた時は、容赦しないよ」

「逆に恐いんですけど…」

思わず身を引くテラス。
そんなテラスにアンセムは近づき、もう一度キスをした。
それに抵抗なく応じるテラス。
優しく啄ばむようにキスをしてから、アンセムはゆっくりと舌でテラスの唇をノックした。
ほんの少しの戸惑いの後、テラスの口が開かれる。
アンセムはテラスの舌を導くように動かした。
すると、ぎごちなく反応が返ってきた。
嬉しくなって、夢中になりそうな自分を制止し、テラスのペースでキスを続ける。
やっと2人の唇は離れた。

愛しくテラスを見つめるアンセム。
真っ赤になりながらも、微笑むテラス。
アンセムは確信した。
テラスがまた一歩前進してくれたことを。

「アンセム、ありがとう」

テラスはアンセムの胸に顔を埋めた。
穏やかな空気が、2人の周囲を取り巻いていた。
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