超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する
「私、ちゃんと恋人になりたいよ」

テラスは真剣だ。
アンセムは小さく息を吐くと、テラスを一気に抱き寄せた。

「!!」

驚いて声も出ないテラス。
ゆっくり体を離し、アンセムはじっとテラスを見つめた。
瞳に決意と怯えが見られる。

「怖がってる」

アンセムは指摘したが…。

「だから大丈夫!」

一歩も引く気がないテラスは、自分からアンセムに抱きついた。
アンセムはしばらく迷っていたが、テラスをギュッと抱きしめる。
そして、テラスの頬に手をあてて上を向かせキスをした。
もう片方の手をテラス腰に回し、体を密着させ深いキスをする。
そのままソファに倒れこむと、腰に回していた手を這わせるように下ろし、テラスの足に触れた。
テラスはビクッと大きく震えたが、抵抗はせずアンセムにしがみつく。
アンセムは唇を離すと、テラスの様子を伺った。
テラスはギュッと目を閉じている。

「オレを見て。テラス」

アンセムの言葉に、ゆっくり目を開けるテラス。

「うわっ!」

至近距離にアンセムの顔があり、思わず腕で胸を押してしまった。

「あ…」

自分の行動を即座に反省し、すぐに手を引っ込めるテラス。
アンセムはテラスに自分の体重がかからないように体制を変えてから、チュッと優しいキスをした。

「続き、する?」

「はいっ!?」

テラスの反応に、アンセムは小さく笑って体を起こす。

「何を言われたか知らないけど、他人にペースを狂わされるのは心外だな」

テラスはアンセムが言いたい意味がわからず、ソファに倒れたままポカンとした。
そんなテラスにアンセムは手を差し出す。
その手を握って、テラスも体を起こした。

「せっかくテラスが少しずつオレに慣れてきているのに、最後に別の誰かに背を押されて焦りで応じられるのは不本意だ」

「???」

やっぱり意味がわからない。
テラスの頭はハテナマークでいっぱいだ。
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