大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 彼女の唇はゆっくりと開く。
「承知いたしました」
 スカートの裾をつまみ、淑女の礼をする。あまりにも凜としており、その場にいた誰もが、ほぅとため息をついたほど。
 その姿を目にしたとき、セシリアの脳内には誰のものかわからぬ記憶が流れ込んできた。
 ――エレノアは聖女イライザを殺そうとした。
 ――エレノアを処刑しろ! 首をはねろ!
 押し寄せる群衆。処刑台に上がるエレノアの後ろ姿。
 その後、エレノアがどうなったかをセシリアは知っている。
(あ、これはネットで限定配信されたアニメのロマンスファンタジー小説『孤独な王子は救済の聖女によって癒される』略して『こどいや』の世界……って、この記憶は何?)
 セシリアは、母親と繋いでいた手にきゅっと力を込めた。母親もちらりとセシリアに視線を向けたものの、不安そうにエレノアを見守っている。
(わたしはセシリア・ケアード、七歳。ケアード公爵の次女。悪役令嬢のエレノア・ケアードの年の離れた妹。このままでは、お姉様は斬首刑に……)
 流れ込んできた記憶の処理に追いついていないが、気がつけばセシリアは母親と繋いでいた手を放して、エレノアへと近づいていた。
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