大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「フェルトンの街をこの目で見たわけではないから、また想像になってしまうけれども……。今まで使われていなかったということは、たくさん生えていてそのまま放置されているってことよね?」
「はい」
 セシリアは力強く頷くが、フェルトンの街にさとうきびがあるのは『こどいや』クリエーターの遊び心が理由だ。だから、周辺の街並みがどうたらとか、気候がこうだとかは、恐らく無視されている。つまり、ご都合主義と呼ばれるもの。
 とにかくフェルトンの街にはさとうきびが生えていて、まるで沖縄のとある場所のように見えると。そんな噂が立ったくらい。
 そのご都合主義が今のケアード公爵家にとってはいい方向に転がっている。
「多分、そのままにしておいてもいいのですが。整備されていないのに、ぼうぼうと草が生えていたら知らない人が見たら驚きますよね。だから、まずは景観を整えるためという理由で切ってみるとかはどうですか?」
 さとうきび畑だってさとうきび畑として手入れされ、周知されているからこそ、心をざわわと落ち着かせてくれる。
 だが、何も知らぬフェルトンの街の者からすれば、ただの草に見えるかもしれない。それを、景観を整えるという理由により領主権限で切って収穫し、砂糖を作ってしまえばいのだ。
< 46 / 231 >

この作品をシェア

pagetop