大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 ジェラルドを立て、自分は一歩下がる。それでも彼女は勤勉で成績もよく、教師たちからの評判がすこぶるよい。それを大人たちがこぞって褒めれば「ジェラルド様がいつも寄り添ってくださるから……」と頬を赤らめて答える。それを見た大人たちは、エレノアを微笑ましく思い、ジェラルドには賛辞を送る。
 だから誰がどこからどう見てもお似合いの二人で、将来、この二人がアッシュクロフ王国を背負うのであれば、この国も安泰だなんて言われていたのだ。
 それがころっと変わってしまったのは、学園の後期課程一年次に、イライザ・バルフォアが入学してきたときだろう。
 イライザは卒業パーティーでジェラルドの隣に立っていた。本来であれば、あの場はエレノアの場所であったはず。
 そのイライザは、商売人の娘だったが母親が下位貴族の出だった。母親は家に出入りしていた商人と駆け落ちをして、国の外れの田舎に居をかまえ、そこで授かったのがイライザだ。
 イライザは生まれながらにして魔力を備えていたわけではない。魔法貴族の血が半分しか流れていないのが原因だった。
 しかし十五歳で魔力が出現し、焦った母親が生家に連絡をいれ、家を継いでいた母親の兄――伯父の養女となった。
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