【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
 実のところ、サイラスは王国が認めた魔法使いになれる器を持つのだ。

 ただ、どうにもそういうのは性に合わないと。ずっとここにいる……とかいう話を、いつしか聞いたわね。

 だから、昔から度々神官とは交流があるとも。

「大体、全ては『豊穣の巫女』のおかげでしょうに。神官自身は、ただの血筋の輩ですから」
「……それには、同意できるけれど。さっさと用件を言って頂戴。私も暇じゃないの」

 そう。残念なことに。この執事の愚痴に長々と付き合っている余裕なんてないのだ。

 明日のスケジュールも立てなくてはいけないし、ロザリアさんとの交換日記も書かなくちゃだし。

「本当に、あなたは腹が立ちますね」
「生憎ね。それに、私の雇い主はあなたじゃないでしょう?」

 にっこりと笑ってそう問いかければ、サイラスが悔しそうな表情を浮かべる。

 ……結構、表情が豊かになったわね。

「私の雇い主は、奥さまになっているのよ。だから、私があなたに時間を割く必要はちっともない」
「……あなたという人はっ!」

 面白いから挑発してみれば、サイラスの隣にいるクレアが慌て始める。

 ……ちょっと可哀想だから、もうやめましょう。もちろん、サイラスじゃなくてクレアがよ。

「と、いうわけだから。さっさと話をして頂戴。奥さまのお力になれるのならば、私は拒否はしないから」

 にっこりと笑って、胸に手を当ててそう言ってみる。サイラスはむっとしつつも、こほんと一度咳ばらいをした。

「全く持って不本意ながら、あなたは大層な魔法の腕を持っております」
「えぇ、自負しているわ」
「なので、奥さまの護衛を頼みたく。……神官がなにか変なことをしそうになったら、全力で止めてください。許可します」

 ……つまり、結局はボディーガードをしろっていうことらしい。

 話が回りくどい。もっと、直球に言えたでしょうに。
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