【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「でも、ロザリアさんが同席するのでしょう?」
「彼女は表向きに奥さまの護衛に当たります。あなたは裏から守ってください」
「物騒ね」

 闇討ちでもしろと言っているのかしら?

 と、いうわけもなく。私は「いいわよ」とすぐに頷いた。

「汚れ仕事は、こういう年増の役割だもの。……若者には、させられないわ」

 肩をすくめてそう言うと、サイラスが意外そうに目を見開いた。

「あなたも、随分と丸くなりましたね」
「まぁ、そうね。……あの頃は、やけくそになっていたから」

 大切な妹が亡くなって、色々な意味で自暴自棄になっていた。

 その所為で、ギルバートを傷つけてしまった。……償えるわけではない。わかっている。だけど。

「奥さまを守ることで、ギルバートに対する罪滅ぼしになるのならば、やるつもりよ」

 ちらりとサイラスに視線を向けて、そう告げる。相変わらず、間抜け面ね。

「ところで、クレアさん。……よろしかったら、焼き菓子でも持って帰る?」

 ぽかんとしているサイラスは放っておいて。先ほどからずっと紅茶……もどきの砂糖水を飲んでいるクレアに声をかけてみる。

 彼女は小首をかしげていた。

「ここに来ない間は、別で働いているのよ。そこが、焼き菓子の店なの。売れ残った商品とか、もらえるだけよ」

 焼き菓子は日持ちするとはいえ、やっぱり期限はある。そういうものは、廃棄するのがもったいないからと、格安で従業員がもらえるのだ。

 本当はロザリアさんにでもあげようかと思っていたんだけど。

「え、じゃあ、いただきます!」
「わかったわ。あなたの妹さんの分も、持っていきなさい」
「わぁい!」

 そういえば、クレアとマリンはサイラスの義理の娘……みたいな感じらしいわね。

(随分と似ていないわね。可愛げがあって、いいこと)

 この男に似なくて、本当によかったと思う。……なんて、口に出したら後が怖いけれど。
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