【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
(ううん、不安になんてなってはダメよ。ロザリアさんや、アネットさまに教えていただいたじゃない!)

 弱気になってはダメだ。

 その一心で、私は水晶玉に手をかざす。それは、ひんやりとしていて氷のような冷たさを持っていた。

「……ふぅ」

 息を吐いて、吸って。ゆったりと魔力を注ぐ。

(まだ、特に反応はない。もう少し強めても、いいかもしれない)

 注ぐ魔力の量をほんの少しずつ多くしていく。

 しばらくして、指先に冷気のようなものが当たる感覚がした。

(これは、暴走の予兆? ……だったら、これ以上注ぐのは得策じゃない)

 どういう風になれば合格なのか。それはわからないから、とりあえず現状をキープしよう。

 その一心で、私は魔力の量を調節することなく、そのまま注ぎ続けた。

 ……それから、三十秒くらい経った頃だろうか。水晶玉が放つ冷気が強くなって、指先がかじかんでいく。

(……どういう反応? 少なくするの? 多くすれば、正解?)

 このままだと、爆発してしまうのではないか。

 本能的にそんな危機感を抱いて、指先が震える。……なのに、どうして、なのだろうか。

(本能的に少なくしたいと思う。……違う、これは、多くするんだわ)

 少しずつ指先に魔力を集中させて、水晶玉に注いでいく。

 またしばらくして、ふわっとした熱気が辺りを包み込む。
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