【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「本当、ですか?」

 疑い深い目を向ければ、旦那様は大きく頷いてくださる。

「新婚旅行もまだだしな。三週間くらい、観光地にでも行こう」

 私の髪の毛を手で梳かれた旦那様は、そうおっしゃってくださった。……嬉しい。

「約束、ですからね」
「あぁ、約束だ」

 指を絡めて、そう言って微笑み合う。

「行く場所は、シェリルが決めてくれ。……それを元に、サイラスにいろいろと手配してもらう」
「……はい」
「俺も、仕事は持ち込まないようにする。そのためにも、頑張らなくちゃな」

 考えればそれはそうなのだけれど、旦那様はお仕事を新婚旅行には持ち込まないらしい。……つまり、私が旦那様を独占できるということだ。お仕事にも、取られたりしない。

「……もっと、頑張れそうです」

 笑ってそう告げれば、旦那様が「そうか」と返事をくださる。その声は、何処か複雑そうだった。

「一緒に、旅行、行きましょうね」

 彼の指と自らの指を絡めた手に、強い力を込めた。旦那様はなにもおっしゃることなく、手を握り返してくださった。

 無言の空間。二人で窓の外の夕日が沈むのを見つめる。……少しずつ、少しずつ。時間は進んでいく。

 それでも、私は――止まったりしない。止まろうとも思わない。まっすぐに、前を向いて進んでいくだけだ。
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