【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「上手く行くかいかないか。それはあなたの力と言うよりは、女神の機嫌次第だもの」
「そうですよ。女神さまの気の向くままです」

 ……それはそうなのだろうけれど、それだとちょっと困る。

 だって、そうじゃない。私はこの日のために努力をしてきた。神官たちだって、この日のために準備をしてきたというのに。

 そんな、女神さまのご機嫌次第で失敗だなんて……。

 膝の上に置いた手に、ぎゅっと力がこもった。それを見たアネットさまとロザリアさんが顔を見合わせる。

 それから、ふっと笑い合っていた。

「大丈夫ですって。……私の知識は全部授けましたし」
「……一応、私も魔力を預けたしね」

 ロザリアさんが手を伸ばして、私の手に自身の手を重ねられた。

 そっと重ねられた手が温かくて、涙腺が緩みそうになる。これは、悲しいからではないのだけれど。

「大丈夫ですよ、奥様。……あなたに女神さまの加護があるように、お祈りしておきます」

 身を乗り出して、ロザリアさんが今度は私の身体を抱きしめる。馬車の床に膝をついて、絶対に痛いだろうに。

 それなのに、彼女はこうして私の不安を和らげようとしてくれている。

「……明日には、クレアさんやマリンさんも駆けつけてくれるわ」

 アネットさまがなんてことない風にそう言ってくれる。

「ここにはいないけれど、リスター家の使用人たちはみんな味方ですよ。それに、領民たちからもいろいろと贈り物……というか、お守りが届いておりますもの」

 旅に出る前。確かに、敷地の前にたくさんの領民たちが集まってくれていた。

 小さな子供からお年寄りまで。私の無事と儀式の成功を願ってくれていた。
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