【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「ここには北の辺境で採掘することが出来る鉱石が入っている。そして、この鉱石には豊穣の女神の加護が宿っているとされているらしい」

 鉱石が入っているなんて、思えなかった。でも、微かにそれっぽい感触がする。もしかしたら、小さなものなのかもしれない。

「本当は俺が取りに行くつもりだったんだ。だが、こっちに任せておけと言われてな……」

 旦那様がポリポリと頬を掻きつつ、照れくさそうにそう教えてくださった。……今のところに照れる要素は見受けられないけれど。

「……あいつは、俺にシェリルの側から離れるなと言っていたんだ」
「え……」
「『豊穣の巫女』は不安定になりやすい。メンタルを安定させるためには、俺が側にいたほうがいいと。……とはいっても、仕事を投げ出すことはできなかったから、その。そこまで一緒にはいれなかったが」

 眉を下げられた旦那様が、何処か可愛く見える。

 それに、旦那様は悪いようにおっしゃるけれど。万が一、お仕事を投げ出してまで私の傍にずっといらっしゃったら。

 ――私は、彼のことを蹴り飛ばしていたと思う。

「いえ、十分です。その、お仕事は大切ですから」
「……あぁ」
「旦那様は私の夫である以上に、領民にとっては領主です」

 お守りをぎゅっと握りしめて、そう伝える。
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